私の見ている世界

子供たちが成人して、愛犬たちとメダカたちに夢中。傍らで綴った小説は、来春電子書籍化されます

愛犬と歯石取り

愛犬の歯石取り、どうしていますか?

歯磨き習慣という自宅ケアはとても大事なことですが、それでもついてしまう歯石。我が家では定期的に動物病院でお願いしています。何故、今回このような記事を書いているかというと、失敗したことがあるから。

4年ほど前、ドッグトレナーをしている甥っ子が、独立して個人事業主としてワンちゃんのしつけやケアをする会社を立ち上げたというので、シェリーちゃんとももちゃんの歯石取りをやりたいと。ちょうど歯石取り時期だったこともあり、軽い気持ちで了承しました。店舗を構えず、訪問施術をしているため、当日、我が家へやってきました。

いつもは動物病院で麻酔処置で行なっている歯石取り。それと同様の処置かと思っていたら、当日無麻酔だと知りました。医師免許を持たないドッグトレーナーは麻酔ができないそうで、私は躊躇しましたが甥曰く、

「麻酔は犬にとって負担な事、しない方がいい」

だそうで、何となく腑に落ちないまま、せっかくの独立第一号客として、施しを受けることにしました。甥っ子から、

「見てない方がいいと思うから出かけてて」

と、言われ私は外出。娘たちが付き添いました。

 

先ずは大人しいももちゃんから。次いでシェリーちゃん。

「本当は一頭1万円だけど、最初だし身内だから半額でいいよ」

と言われ、1万円を支払いました。病院では、血液検査やレントゲン、麻酔、1泊入院を含め5万円でおつりがくる程度。そこからすれば破格ですが、冷静に考えれば、歯石取り以外の処置はないのだから当然と言えば当然なのかも。

甥っ子にお昼ご飯をご馳走して手土産を渡し、施術から2時間ほどの滞在後帰っていきました。甥っ子の滞在中、ももちゃんは別室でゲージに閉じこもり、シェリーちゃんは私の膝の上で「ウーッ」と唸り、

「すっかり嫌われちゃったな」

甥っ子は苦笑していました。

 

甥っ子の帰った後もももちゃんは震えが止まらず、シェリーちゃんは気が荒れていました。大好きだった歯磨きも嫌がるシェリーちゃんとももちゃんの様子が気になり、付き添っていた娘たちに尋ねてみると

「ももちゃんはずっとブルブル震えていたよ。シェリーちゃんは暴れちゃったから歯も一本抜かれちゃった」

という娘からの報告。ギロチンと呼ばれている、動けばぎゅッと締め付けられる首輪をつけてから金属製の口輪を付け、助手が身体を羽交い絞めしてペンチのようなものでパチパチと歯石を取っていたそうです。

「お母さん見てたら泣いちゃったと思うよ」

そりゃそうだ。その様子を聞いただけで私は全身が震えました。

これまで、動物病院もトリミングも、ペットの様子をしっかりと観察してやっていただけるところを選んできた私にとって、今回の施術はどうにも受け入れがたい。麻酔云々の理屈は判らなくはないが、これがもしも万が一自分の子供にする施術だったとしたら、泣き叫び嫌がるような処置ではなく、極力痛みを最小限にしてもらう選択をしたはず。私は一気に後悔の渦の中でした。

以来、シェリーちゃんは首輪をつけるときにビクッとするのでハーネスに変えました。ももちゃんは、知らない人が家に来るとブルブルと震えてしまいます。

 

あれから4年、甥っ子はなかなか顧客がつかず2年で廃業、ペットに関わる業界に就職しましたが方針が合わず退職を繰り返して、今はニートになってしまいました。甥っ子の名誉のために一言付け加えると、彼は少年時代から愛犬と暮らす本当に愛犬家です。自分の家で飼っているワンコをとても可愛がっています。彼の口癖は、

「犬と人間は違う」

それは本当にその通り。ただ、その違いへの気持ちが私とはちょっと違う。それでも、彼にしつけをお願いして良い子になったという声も聞きます。

「しつけにもギロチンが有効だ」

と言った甥っ子に、恐怖を与えるのではない方法がないのかなと思う。『良い子』とは『人間に都合の良い子』、犬の本能とは違う。痛みを伴う歯石取りが苦痛なら、愛犬のストレスを少しでも軽減できる方法はないのか、それだけ。

そろそろまた歯石取りの時期になり、そんなことを夜な夜な考えて、あの時の私の選択を悔いています。